空撮にインカムを導入
撮影現場ではスタッフがいる場合、何らかの連絡手段が必要になります。
ドローン撮影の場合にはオペレーターと補助者(監視者)との連絡や2オペ時のカメラオペレーターとの連携手段として無線機等を導入している方も多いと思います。
このような設備をインターコミュニケーションシステムと言い、略してインカムと呼ばれています。
インカムと言っても千差万別、@基地局を設置する本格的なものから、A特定小電力トランシーバー、Bバイクツーリングなどに使用されるBluetoothインカムなども結構人気があるようです。
ゴルフ場撮影を前提に、障害物の無い見通し距離で500m程度の通話ができたらいいなと人柱に調査しました。
バイク用インカムその1
最初に手を出したのはバイク用のインカム、Amazon購入の中華品です。
開封式は軽く飛ばして早速通話実験開始。
1mの距離では「ピチ、パチ音」が少し入る程度で問題なかったのですが、5mで「ビジビジ、バジバジ」、10mでは「ビビー、ババー」、20mでは雑音のみ。
個体差の問題の可能性もありますが、残念ながら中距離インカムとして使えるレベルではありませんでした。
バイク用インカムその2
中華インカムはケチった自分が悪いと泣き寝入りし、次は有名どころのSENA、B+COM、MIDLANDなどを調査したところ、価格帯、機能、性能もほぼ同等なので単純にデザインでB+COM選定。
機種はSB4X-lite、アームマイクユニットを2set選択しました。
音声出力はminiUSBからピンジャックに変更(別売り)しイヤホンを使います。
帽子やサンバイザーを使用するときもありますのでヘッドホンタイプよりもイヤホンがいいですね。
ベストにベルクロテープを縫い付け、そこにインカムをマジックテープで固定。マイクアームはフレシキブルなのでマイク位置は自由に移動できます。
ここまで準備していざ通話テストです。
カタログスペック=通信距離1.4km?
実地テスト=見通し距離で50mまでが雑音なし通話、そこから徐々に雑音が増え100m離れると雑音でイヤホンしていられません。
近距離での通話は全く問題ありませんが離れてしまうときついです。
バイク用インカム:結論
近距離連絡、たとえば2オペ時の連絡手段としてはいいと思います。
が、目視外距離の監視者との連絡用として考えると通信距離が短く残念ながら連絡手段としては使えません。
所詮2.4GhzのBluetooth通信です。カッコいい双方向同時通信にちょっと期待しすぎてしまいました。
携帯とリンクし着信、通話、音楽視聴などいいところはあります。
蛇足ですがドローンを飛行させると電波干渉しそれが雑音増長につながっていたりもします。
インカム:特定小電力トランシーバー
特定小電力トランシーバーは免許、登録不要で誰でも使用することができます。
但し双方向同時通信ではないため通信(発信)するときにはPTTスイッチを押下する必要があり、ノーハンドというわけにはいきません。
当然、相手方が通信(発信)しているときは受信側は発信できず、聞き手オンリーとなります。
そこでドローンオペレーターはVOX機能(音で反応)で声を出すと自動送信できるモードにしておき、監視者は普通にPTTスイッチでの通信とするのが賢い使い方かな?と思います。
特定小電力は出力10mW(0.01W)ですのでこちらも通信距離は期待できません。
環境で通信距離は大きく変化しますが個人的な感覚だと見通しで300〜500m程度ではないでしょうか。(カタログ値はもっと長距離ですが)
但し、バイク用インカムと違うところは、通信可能距離圏外であっても通話しない(VOX又はPTT)限り相手側に雑音が入らない事で、オペレーターはドローン操縦に集中できる、という利点があります。
インカム:トランシーバーの理想形
ドローン監視者との連絡用に使うのであれば見通しで最低500m〜1km程度は欲しいところです。
個人的に最適ではないかと思うのは5W型デジタル簡易無線機です。
登録局に該当するため総務省総合通信局(管轄により申請先は異なる)への登録申請が必要になりますが、免許不要で最長5年の申請が可能ですのでさほど面倒ではありません。
実際に取り扱ったわけではありませんが概ね見通しで5km以上などと記載されています。
ハンディタイプのデジタル簡易無線機は3万円前後で無線メーカー各社より販売されています。