ジンバルカメラ
INSPIRE2は本体のみ販売とコンボセットの販売となっています。
ジンバルカメラのみを対象にすると、X4S(レンズ付き)のStandardコンボ、X5S+標準レンズのProfessonalとPremiumコンボ、更にCinema PlemiumコンボはX7がセットになっています。
X4SはPhantom4 Adv / Pro同様のカメラになりますのでINSPIRE2の場合X5S、X7の選択肢になるかと思います。
→Zenmuse X5Sのページへ
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INSPIRE2はカメラコントローラーが本体側になっており旧来のINSPIRE1用X4R、X5Rなどのカメラが使用できなくなっています。
カメラ性能向上のため仕方ないことですがINSPIRE1からの乗り換えは全て(一部レンズを除く)を新調する必要があります。
ジンバルカメラセッティング
INSPIRE2は収納時に背丈を低くする「トラベリングモード」になっておりこのままではカメラの装着ができません。
トラベリングモードを解除するには電源ボタンを5回押し(インジケーターが1回ずつ点灯していくのでわかりやすい)で降着装置が下がり通常の待機モード(カメラを装着するスペースができます)になります。
ランディングギア下部にかさ上げブロックなどがあれば装着しやすいのですが、管理人は後ろに倒し斜めの状態でカメラセッティングします。
ジンバル全面の点印を合わせ時計まわりに回転させるとロックし、取り外すときは正面向かって左側のリリースボタンを押しながら反時計まわりに回転させます。
装着後ジンバルのイニシャライズが始まりますが、カメラとランディングギアの位置(接地面)が意外と近く、草地に折りたたみ式のペリパットを設置して運用する場合、草でヘリパットが盛り上がるとカメラがヘリパットに当ってしまいエラーとなってしまいます。
特にレンズフード装着レンズは要注意です。
この場合、イニシャライズ終了まで少し持ちあげておく必要があります。
初期状態ではジンバルはフォローモードになっており、パン方向の操作はできません。
ジンバルコントロールのアイコンは見ただけではわかりませんね・・・
フォローモード
機体正面方向に固定されます
フリーモード
背面の機能ボタンに設定することにより(デフォルトは忘れてしまいました)、機能ボタン+Jカメラコントロールダイアル操作でジンバルのパン方向をコントロールできるようになります。
管理人はC1にこの機能を割り当てしています。
リセット
ジンバルを正面位置に戻します。
ジンバルのフリーモードでグルグルやっていると正直カメラがどこを向いているのかわからなくなります。
こちらも機能ボタンに設定できますのでC2に割り当てとかいかがでしょうか。
フライトコントローラー
他DJI製品同様フライトモードは3種類となります。
■P(Positioning)モード GPS、ビジョンセンサーを使い、インテリジェントフライトモードなど高度な制御、飛行が可能となります。
■S(Sport)モード GPSは適用されますが前方/下方のビジョンセンサー及びインテリジェントフライトモードが無効になります。
■A(Atti)モード 機体は気圧計によってのみ行われ、インテリジェントフライトモードなども無効になります。
フライトモードの切替は送信機左上のMフライトモード切替スイッチにより行います。
停止操作により停止、ホバリング待機となります。
リターントゥホーム(RTH)
こちらも他DJI製品同様3種類のリターントゥホーム(RTH)を備えています。
安全飛行、危機回避に非常に有効な機能ですので機能、操作及び機体の挙動は必ず覚えておくようにしましょう。
■スマートRTH ホームポイントが記録されている場合(離陸時に4個以上のGPS受信が条件)、送信機のRTHボタンを操作することでホームポントへの自動帰還をします。
ビジョンセンサーが有効(十分な明るさ)な場合は前方障害物を検知、上方へ回避しながらの帰還となります。
ビジョンセンサーが無効な場合は障害物回避ができないのでアプリ設定のフェールセーフ高度(任意設定可能)による帰還になりますので飛行環境を見たうえで余裕を持ったフェールセーフ高度設定をしましょう。
以下共通となりますが、ホームポイントへの自動帰還は機体との距離が20mを超える場合に適用され、ホームポイントから20m以内でのRTHは「その場で着陸」となり、周辺の障害物を検知する着陸保護機能(0.7m上空でホバリング、着陸の指示を待つ)は備えていますが、意図しない場所への着陸もありえるので注意が必要です。
■ローバッテリーRTH ホームポイントからの高度、距離でバッテリーの必要残量が計算され、ローバッテリーアラームが発動します。
なにもしないと10秒で自動帰還を開始しますがアプリ画面の取り消し又は、送信機のRTHボタンを押すことで自動帰還を解除し操縦することが可能となります。
■フェールセーフRTH 送信機信号喪失時に3秒でフェールセーフモードが発動し、機体は飛行しながら記録した経路により最適な期間ルートを飛行しながらホームポイントに向けて帰還を開始します。
但し帰還途中に送信機との通信が回復した場合はフェールセーフRTHは解除され送信機での操作が可能となります。
インテリジェントフライトモード
Phantomやほかのシリーズ同様、INSPIRE2にも色々な操縦支援機能を備えています。
すべてが必要なわけではありませんが、状況に合わせて使う事により1ランク上のフライト、空撮を行うことが可能となります。
一部の機能を簡単にご説明します。
■TapFly(タップフライ) 画面上で指示した場所へ障害物を回避しながら自動飛行します。
発動条件「2m以上の高度でPモードでの飛行、又はホバリング中」。
アプリ左側の送信機マーク をタップ→TapFly をタップ→画面上の目標をタップ。
GO アイコン表示を待ち確認すると目標地点へ自動飛行します。
ビジョンセンサーが有効な場合は障害物を回避しながらの飛行となります。
1オペでカメラのチルト、パン操作を行いたいときに便利な機能です。
ジンバルのコントロールをフリーモードにすることにより、ピッチレバー→ジンバルピッチ、ロールレバー→ジンバルパンの操作が可能となります。
この時左上のJダイヤルで飛行速度を調整することが可能です。
TapFlyは画面上の ボタン又はピッチレバー3秒引き戻し、送信機のOインテリジェントフライト一時停止ボタンで可能。
個人的には送信機のボタン操作が確実、安心だと思います。
停止操作により停止、ホバリング待機となります。
■ActiveTrack(アクティブトラック)
認識した対象を後方から障害物回避をしながら追尾(トレース)又は特定の方向、角度を保って追尾(プロフィール)、但しプロフィールモードでは障害物回避はしません。
何れも送信機のロールスティック(選択しているモードによって変わります)にて対象物の周辺を回ることが可能です。
発動条件「2m以上の高度でPモードでの飛行、又はホバリング中」。
アプリ左側の送信機マーク をタップ→ActiveTrack をタップ→画面上の目標をタップまたはドラッグしてボックス囲み。
ボックス囲みの場合対象が認識されると緑色に、認識不可またはロストすると赤色に変わります。
物体の認識率はかなり優秀だと思いますが、色、明るさの明暗が不明瞭な場合は新指揮できないことがあります。
更に、対象と機体の間の障害物などで一瞬見失った場合でも対象ロストとなる確率は高いです。
ActyveTrackは画面上の ボタン又は送信機のOインテリジェントフライト一時停止ボタンで可能。
本機能は動きのある被写体を追尾しながら撮影するのは優れた自動飛行機能です、しかし飛行が複雑になるほどリスクも高くなりますので◎障害物の無い開けたところ、◎バッテリー残量は十分であること、◎機体の飛行経路を予測しながらいつでも停止できるようにOの停止ボタンには常に指を掛けておくことを心がけてください。
■トライポッドモード
こちらは送信機操作による機体の速度を落とし、ゆっくりと滑らかな空撮を行うことができます。
細かい位置取りなどはこのモードで行えます。但し、GPS受信が弱い時(室内など)はAttiモードで通常速度になってしまうので要注意です。
■スポットライトプロ
INSPIRE2の一番の魅力的な機能がスポットライトプロです。
アプリが被写体を認識すると機体の向きとは関係なく自動でカメラが被写体を追尾し続けます。
2オペレーターで被写体を追い続けるのと同じことですが、パイロットとカメラオペレーターの意思疎通が図れないと結構簡単に被写体をロストしてしまうのですが、スポットライトプロの追尾能力は驚くべきものです。
スポットライトプロのモードは二つあり、
クイックモード…画面上で被写体をボックス囲い→認識で追尾開始
コンポジションモード…先に画面でボックス囲いを作っておいて、飛行しながら対象がボックスの中に入った時に送信機背面のC2ボタンで認識、追尾開始となります。
クイックモードの場合、送信機スティックから手を放して操作しなければならず、モード2で右手で画面操作するときは停止位置からのスタートになってしまいます。
その点、コンポジションモードは機体を飛行させながら対象をロックオン(先に位置指定)することができるので動きのあるものをカメラ追尾する場合や、特殊な構図での撮影に役立ちます。
更に両モードではフリーモード(機体の進行方向とカメラの方向は別に操作可能)、フォローモード(機体の進行方向とカメラの向きが同じになる)が選べるようになっていますがフォローモードで意図する構図で飛行させるにはより高度な操縦技術が求められます。
画面上のボックス囲いはドラッグで移動できるので構図内の被写体の移動も可能です。
尚、スポットライトプロは2オペレーター時のカメラオペレーター側でも設定操作できるため、飛行しながらクイックモードで追尾、別の対象を追尾開始するなどより複雑な空撮が可能となります。
スポットライトプロはSモード、Aモード、TapFlyモード、トライポッドモードで使用可能で、TapFly+スポットライトプロの組み合わせで実質飛行操作しなくても正確に被写体をカメラ追尾し続けることが可能です。
記録メディア
INSPIRE2ではmicroSDの他に専用のSSDスロットがついています。
現在販売されているSSDは3種(120/240/480GB)です。
Cinema DNG、Apple ProResでの記録の場合はSSDへ記録しなければなりません。
INSPIRE2の圧縮率効率はあまり高くなく、たとえばCinema DNG フォーマットで撮影、CINESSD 480GBで記録した場合は、
5.2K(5280×2970) 30fps 15分
4K 60fps(4096×2160) 17分
UHD(3840×2160) 18分
とかなり短い記録時間になります。
現場でバックアップを取りながら作業する場合、複数本のCINESSDが必要になります。
コネクターも汎用性はなくPCへの接続には専用のドッキングステーションが必要になります。
一般的な規格のSSDは1GB当り単価が30円台〜、小型版のmSSDで50円台〜。対してCINESSDは480GBで116,000円、1GB当り単価242円と桁違いの高額品となっています。
正直、記録メディアだけでも汎用品を使えるようにしていただきたかったです。
総評
Matriceシリーズを除くと性能、安定性、拡張性(カメラ部)どれをとっても最強の空撮マシーンです。
欠点はやはり投資費用でしょうか。
いずれINSPIRE3などへUPグレードされると思いますが、カメラ、レンズ、バッテリー、記録メディアなどINSPIRE2から引き継ぐことができるように開発して頂きたいものです。